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ヘボン式と訓令式、何が違う? — パスポートのローマ字が学校と違う理由

公開日: 2026年8月25日 / 筆者: Kento

小学校では「し=si、ち=ti」と習ったのに、パスポートの名前は「shi、chi」。子どもに「どっちが正しいの?」と聞かれて言葉に詰まった経験はないでしょうか。答えは「どちらも正しい。ただし使う場所が違う」です。日本には主に2つのローマ字の方式が同居しています。

2つの方式の違いを一覧で

かな訓令式(学校)ヘボン式(パスポート)
sishi
tichi
tutsu
hufu
ziji
しゃsyasha
ちゃtyacha

訓令式: 日本語の仕組みに忠実

訓令式は「日本語の五十音の規則性」を重視した方式です。さ行はぜんぶs(sa si su se so)、た行はぜんぶt(ta ti tu te to)。ローマ字を通して日本語の音の構造を学べるため、国語教育で採用されてきました。表記のルールとしては内閣告示で定められた、いわば日本語側の公式です。

ヘボン式: 英語話者の発音に忠実

一方のヘボン式は「英語圏の人が読んだときに、実際の音に近くなる」ことを重視します。英語でsiは「スィ」、tiは「ティ」と読まれてしまうので、し=shi、ち=chiと綴る。幕末に来日した宣教師で医師のヘボン(Hepburn)が和英辞書「和英語林集成」で採用し、広まりました。駅名標、道路標識、クレジットカード、そしてパスポート——外国人の目に触れる場面では、ほぼヘボン式が使われています

パスポートだけの「追加ルール」に注意

パスポートの氏名表記は、ヘボン式をベースにさらに独自の決まりがあります。

  • B・M・Pの前の「ん」はM。 難波さんはNAMBA、本間さんはHOMMA。
  • 長音は書かない。 佐藤さんはSATO(SATOUではない)、優希さんはYUKI。ただし「いい」はIIのまま(新潟=NIIGATA)。
  • 「おお・おう」はOH表記も選べる。 大野さんはONOでもOHNOでもOK。ただし一度選ぶと、以後の更新で変更は原則できません。家族やクレジットカードと表記を揃えてから決めましょう。
  • 区切り記号は使えない。 真一さんはSHIN-ICHIでもSHIN'ICHIでもなくSHINICHI。

これらのルールは自分で適用しようとすると意外と間違えます。当サイトのローマ字変換ツールは、撥音のM化・促音・長音の省略・OH表記の切り替えまで自動で処理するので、申請書の下書きにお使いください。

結局、子どもにはどう説明する?

「学校のローマ字(訓令式)は日本語の勉強のためのつづり。パスポートや看板のローマ字(ヘボン式)は外国の人に読んでもらうためのつづり。目的が違うから、つづりも違う」——これがいちばん正確でシンプルな説明です。なお近年、教育の現場でもヘボン式を基本にする方向で見直しの議論が進んでおり、2つの方式の関係は今まさに動いているところです。

まとめ

訓令式は日本語のための規則、ヘボン式は英語話者のための実用。パスポートはヘボン式+独自ルールで、長音の省略やM化など落とし穴が多め。氏名の変換はローマ字変換ツールで機械的に確かめるのが確実です。